2018年5月27日(日)より、調剤薬局オーナー様向けのセミナーが開催された。今回は6月24日までに47都道府県すべての会場で開催が予定されており、初回会場である東京会場の模様をご紹介させていただきたい。

今回のセミナーでは4月の調剤報酬改定を踏まえて、今後業界がどう変わっていくのか、どういう変化をしていかなければならないのかという内容に加え、ファルメディコ株式会社の狭間研至氏を特別講師にお招きし、自身の在宅への取り組みとノウハウについて講演いただいた。

真に患者に求められる薬局になるために
~報酬改定からみる、今後の選択肢とは~

第一部は私、山本夢人が講演を行った。

今回の報酬改定は大手・準大手企業に狙い撃ちをし、彼らが大打撃を受けたという印象が強いと思われるが、「暗に中堅・中小企業への注意喚起の報酬改定だった」というのが私の考えだ。
確かに目先を考えると大手・準大手の業績への影響はあることは間違いないが、それは見方を変えると、大手・準大手がいち早く“国や患者の求める薬局づくり”を開始できるとも捉えられる。
報酬改定のハードルは毎度上がっていくばかりであり、いずれは中堅・中小企業においても、同様のハードルを設けられる可能性が高い。そうなった場合、先んじて舵を切っていた大手・準大手が将来的にリードしていくことは間違いない。

今回の改定で報酬が変わらなかった企業、または少し報酬が増えた企業がいるであろうが、これにホッとしていてはならず、むしろ2年間の猶予期間を得られたと危機感を抱いてほしい。

では、この猶予期間である2年間に中堅・中小企業は何をすべきなのであろうか?

この点については、対人業務への注力とIT化への取り組みが重要であり、具体的な取り組みについて説明した。
また、昨年の成約事例の紹介をしながら、
・後継者候補がいながらもM&Aで譲渡したケース
・成長戦略型のM&Aで譲渡したケース
・地域No.1企業がM&Aで譲渡したケース
の3つのストーリーを解説した。

そして、セミナー参加者から好評だったのが、“中堅企業が譲り受けを成功させる秘訣”というテーマについての説明であった。

これまで譲り受け企業は大手が大半だったと思われがちだが、昨年はなんと中堅企業の譲り受けが急増し、ついに中堅企業の譲り受け件数が大手の譲り受け件数を上回った。
この流れに乗り、初めてM&Aに取り組む企業も多くなったが、M&Aを甘く見ると間違いなく失敗するのは言うまでもない。
これからM&Aに取り組んでいこうと思っておられる中堅企業向けに、“大手ではなく”、中堅企業がM&Aを成功させるためのノウハウを紹介した。

譲り受けも譲渡もどちらの選択も正解であり、大切なことは、自身が本当にやりたい医療サービスを叶えるために、どの方法が早く、そして確実に成就できるのかを真剣に考えて決断することだ。

調剤薬局
僭越ながら講師を務めさせていただきました


大手チェーン薬局からの譲渡も増加!?

第二部はファルメディコ株式会社 代表取締役社長 狭間研至氏に登壇いただいた。

狭間氏は薬局業界では知らない方が少ないほど、“在宅の第一人者”といわれた方である。
医師の顔を持ちながら、7店舗の薬局のオーナーでもある稀有な存在であるが、驚くべきは処方箋の内訳である。狭間氏が経営する7店舗の薬局ではなんと外来処方比率が38%なのである。立地依存といわれた調剤薬局業界であるが、大半を在宅処方が占めているという。

調剤薬局
第二部講師 ファルメディコ株式会社 代表取締役社長 狭間研至氏


狭間氏は
「薬剤師は薬を渡すまでが仕事ではない。むしろ薬を飲んだ後までフォローをすべきであり、そうすることによって、薬物治療の質は飛躍的に向上する」
という考えをもっている。
それを踏まえたうえで、分業率や日本の医療費の推移等マクロデータを分析し、実際に薬剤師が行うべき取り組みにまで落とし込んで説明をされた。

挟間氏がその中で強く訴えかけられていたのは“薬剤師の本当の仕事は何なのか”という点である。
もちろん対人業務に従事することは基本となるが、その役割分担は明確にしなければならない。薬剤師の働き方や概念を根本から変える必要性について説いた。
さらに、対人業務に集中する薬剤師に必要なことは、患者の状態を知るための知識・技能・態度であり、患者をよくするための、時間・気力・体力も必要であると述べた。

狭間氏はかつて調剤薬局ビジネスを“コバンザメビジネス”と言われたことに憤りを感じ、本来の薬剤師業務は非常に尊いものであり、それを日本中に広めたいという思いで、毎年全国での講演や自身が主催するセミナーも開催している。
狭間氏の講演を聴講された来場者からは「悩んでいたものが少し改善できた気がした」「これから薬局の進むべき方向性を示していただいた気がした」「自社の将来を考え直す、良い機会となった」などの感想が寄せられた。

ここで述べたのは本セミナー講演のほんの一部の内容である。セミナーではもっと具体的な解説やケースの紹介も盛り込んでいるので、興味ある方はぜひ申込みいただきたい。
本セミナーが今後の調剤薬局業界の経営の一助となれば幸いである。
5~6月 全国47都道府県開催 調剤薬局M&Aセミナーお申込み受付中

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AUTHOR PROFILE

業界再編部 シニアディールマネージャー
調剤薬局業界責任者

山本 夢人

東京大学工学部卒。野村證券株式会社、土木資材メーカーの副社長として経営に参画後、日本M&Aセンターに入社。経営者としての経験をもとに中小企業オーナーの立場に立ったM&Aを提案。現在は調剤薬局と運送業界の責任者としてM&Aを支援している。石川県出身。